「前へススメ!」について

Poppin'Partyのオリジナル楽曲、「前へススメ!」だが、これはアニメ1期の11話にて本当の完成を果たした楽曲だ。SPACEのオーディションに合格するために披露した楽曲。しかし、香澄はスランプに陥り歌えなくなってしまう。そんな香澄を支えるために有咲、沙綾、たえの提案で歌い分けることに。本来ならば「前へススメ!」は他の楽曲と変わらず、香澄1人で歌うものだったようだ(もちろんコーラスは入るだろうが)。CD化されているものも全員で歌っている。全員で歌うことによりそれぞれの担当する箇所の歌詞がそのキャラクターに当てはまっているが、これを香澄1人で歌っていた場合、原作小説の香澄を表現していると思える捉え方ができる歌詞が多いと感じる。

 


「好きで好きでたまらないよ

今すぐ扉開けたいよ

でも踏み出せないのは何故」

 


りみが担当するパートである。引っ込み思案で自分なんかが演奏に加わっても迷惑なだけだと思っていたりみ。バンドをやりたい気持ちを隠してしまう。これを香澄が歌うと、こう解釈できる。「歌うことが"好きで好きでたまらない"。でも歌うことが好きじゃないと言ってしまった自分は"踏み出せない"。」そう、原作小説の香澄の気持ちを痛切に表していると言える。

 


「だけど3つのコードから

君と一つになれたよね

もう夢はみんなのもの

この心震わせたい」

 


たえの担当パート。ずっと1人でギターを弾いていたたえ。けれど"3つのコード"、つまり香澄、有咲、りみの3人がバンドに誘ってくれた。蔵でのライブで"心を震わせ"てくれた。その思いが感じられる。これを香澄に置き換えてみる。原作小説内にて香澄が最初に弾いて歌った曲は「きらきら星」を自分でアレンジした「トゥインクル・スターダスト」。これは有咲からの"小心者の序曲"その三にて課せられたミッションである。そのミッションの内容とは"スリーコードの曲を演奏すること"だった。"スリーコード"つまり、"3つのコード"だ。この演奏を聞いた有咲は「才能の開花する瞬間を見た気がした」と評している。また、それまで育成ゲームとしてみていた世界が自分の物語と繋がったとも感じていた。つまり、"夢はみんなのもの"となった瞬間である。

 


「正直になれそうな自分に

君が微笑んだ」

 


有咲の担当パート。元々正直になるのが苦手な有咲がバンドをやっていて、香澄達と出会えて「悪くなかった」と感じていたことを表している。香澄の場合は「歌が好きな自分に"正直になれそうな"自分に"君が"、つまり机の上での文字だけのやり取りだったが、沙綾が"微笑ん"でくれたように感じた」というところだろう。

 


「あの日のこと忘れないよ

背中を押してくれた君

夢がなきゃもう生きられない」

 


りみのパート。バンドをやることを躊躇っていたりみに堂々ときらきら星を歌うことで"背中を押し"た香澄への想いを表している。香澄の場合は「"あの日のこと"つまり、有咲の前で歌ったあの日。歌うことが怖かった香澄を沙綾は勇気づけ、"背中を押してくれた"。」というところだろう。その演奏で香澄達は"夢"を見つけている。

 


「過去の全てにとらわれた日々

一人悩むのは止めよう」

 


沙綾の担当パート。自分のせいで迷惑をかけてしまった"過去"に"とらわれ"ていた沙綾が香澄に「一人で考えるなんてズルい!一緒に考えさせてよ…」と1人で悩まないことを決めたことを表している。香澄に置き換える。「"過去"に歌うことが好きじゃないと言ってしまった自分に"とらわれ"ず、一人で悩まずにみんなと同じ道を走ると決めた」ということだろう。

 


このようにポピパ全員で歌うと、アニメ1期のメンバーを表しているが、香澄が1人で歌ったと考えると原作小説)の香澄を表しているとも捉えることが出来る。

 

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