無敵で最高で最強の歌

Yes!BanG_Dream!の歌詞に登場する歌の肩書きである。

今回、何の話をしたいかというと、Yes!BanG_Dream!とその対となる曲、"夢を撃ち抜く瞬間に"の関連性である。

 

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☆対となる2曲

2曲の関連性を示す前に、この2曲が対となると考える根拠を示したいと思う。

根拠は大きく分けて2つある。それぞれ細かく以下に示す。

 


・歌詞の同意性

2曲の歌詞の中には、全く同じものであったり、意味としては殆ど同じものが見られる。

歌詞の一例を下で示す。


"夢を撃ち抜く瞬間にキミは何を思うの"

〜「夢を撃ち抜く瞬間に」〜

これは問いかけだが、夢を撃ち抜く瞬間の心情を問うのならば、質問者もそのそばにいる可能性が高い。

 

"今、夢を撃ち抜く瞬間にドキドキときめくキミを見てる"

〜「Yes!BanG_Dream!」〜

一方で、Yes!BanG_Dream!でも、夢を撃ち抜く瞬間のキミのそばにいる可能性の高い歌詞が存在する。


更に、タイトルにも同じ事が言える。

"Yes!BanG_Dream!"。日本語訳してみると、"夢を撃ち抜け!"となる。

これはコンテンツ自体のタイトルに帰属している。

 

一方でこちらは言うまでもないが、"夢を撃ち抜く瞬間に"も、夢を撃ち抜くという単語がある点で、BanG Dream!に帰属している。


歌詞に注目してみると、他にも発見できるが、今回示すのはこの2例に留める。

このように、歌詞や果てにはタイトルまで、同意性を持つものが多い。

これが、対となると考える根拠の1つである。

 


・BanG_Dream!の名のもとに

小説版のストーリー、と言えばご存知だろうか?これはここで解説しないので、知らない方は読んでから再度こちらを訪れていただく事を推奨する。

 

小説版のストーリーでは、Yes!BanG_Dream!はPoppin'Partyのメンバーを繋いだ歌だ。

それぞれがそれぞれにこの歌と出会い、最後に戸山香澄によって完成された。

 

一方で、アニメ3期の最終話にて披露された"夢を撃ち抜く瞬間に"。ストーリー上では、BanG Dream!Girls Band Challengeの非公式テーマソングとして作られる。

 

3バンドでのステージ。まさしく3期での主要メンバーを繋いだと言える。

そしてこちらも同様に、湊友希那、チュチュの2人に直談判に向かった、戸山香澄達によって完成されたといえる。

 


以上2つの根拠より、Yes!BanG_Dream!と"夢を撃ち抜く瞬間に"の2曲は、対となる曲であると言える。

 


☆歌の属性

上で2曲が対となる事を示したいと訳だが、最初に記した通り、その関連性を示したい。

 

具体的には、歌に付与された属性の話である。

 

無敵、最高、最強。Yes!BanG_Dream!には、この3つが歌に付与されている。

しかし、"夢を撃ち抜く瞬間に"では、"無敵"以外の2つは消えてしまっている。

 

先に示した通り、対となり共通点も多い楽曲同士でのこの差異。ここに注目したいと思う。

 


☆湊友希那の関わり

"夢を撃ち抜く瞬間に"は、ポピパが作った曲だが、その最終的な制作過程には、湊友希那も携わっている。

つまり、歌詞には戸山香澄のルールだけでなく、湊友希那のルールも少なからず使われていると考えられる。

 

では、湊友希那の歌詞。そのルールとはどのようなものだろうか?

 

その片鱗はガルパイベント、いつか届けアタシの詩、ノーブル・ローズ-花々を連れて-にて見る事ができる。

このイベントでは、どちらも今井リサが作詞にチャレンジしている。

しかし、Rose-lisa及びノーブル・ローズにて最初に作られた曲は、どちらも湊友希那は歌えないと言っている。

 

ではこの2つに共通し、湊友希那が今までRoseliaとして書いた歌詞と違う点は何だろうか?

今井リサ作詞の2曲は1フレーズしか登場していないが、それは容易に見つかった。

 


"月の光かすかに照らす、青い薔薇の物語"

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"青薔薇 咲き誇る庭園"

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湊友希那が過去にRoseliaとして作詞した楽曲の中に、"青薔薇"という単語はただの1度も登場していない。

 

おそらくこれが、湊友希那が今井リサの2曲を歌えない理由の1つと思われる。

その証拠に、ノーブル・ローズで今井リサが完成させた"約束"には、青薔薇という単語が存在しない。

 

ここからうかがえる湊友希那の作詞におけるルール。自明の理であり、言うまでもなく、伝えるまでもない事柄は、歌詞に書かないという事である。

青薔薇という単語は、Roseliaとしてステージで演奏する以上、わざわざ歌詞にしてまで言う必要がないのである。

 

以上の事を湊友希那のルールとすると、"夢を撃ち抜く瞬間に"で最高、最強の単語が消えたのは、この2つの属性は目に見えて明らかになったからだと考えられる。

 


☆最高と最強

では、2つの属性を背負った目に見えて分かる存在とは何だろうか。

 

Yes!BanG_Dream!が完成した時には無かった要素。

 

考えられる答えとは、Roselia、RAISE A SUILENの2バンドである。

 

この2バンドが、最高、最強の属性を背負っていたと思われる。

 

どちらがどちらだろう?

 

個人的な考えになるが、最高がRoselia。最強がRASだと思う。

 

Roseliaが最高と考える理由だが、彼女達が目指す先は頂点。そして、FWFを超えた先にある、更なる高みである。

頂点とは、最も高い場所と解釈する事もできる。ともすれば、最高という属性がRoseliaに付与されていてもおかしくはないだろう。

 

ならば残る最強はRASに付与される事になる。理由は単なる消去法ではない。

チュチュのセリフ、

「私の最ッ強の音楽で、大ガールズバンド時代を終わらせる!」

から、チュチュ自身も自分達の事を最強と自覚していると思われる。

 

また、Takin' my heartの歌詞、"虚勢を張るおまじない"から分かる、表面上の強さを見せているチュチュ。だからこそ高みではなく、強さを表す属性を付与されたと考えられる。

 

更に、あくまで単語の消失による属性の付与は、湊友希那のルールである。

そのため、最強をRASに当てはめるにあたって、それは自称ではなく、湊友希那のRASへの印象という事になる。

ただの強さだけでは高みに立てない。

湊友希那が、ガルパのバンドストーリー2章で感じた事である。

だからこそ、RASを表す属性として最高ではなく最強が選ばれたのではないだろうか。

 


☆無敵の歌

最高、最強の2つが消えた理由はご理解頂けただろう。

ならば、残る1つの属性。無敵が残った理由は何だろう?

 

まず、この属性が当てはまる存在を考える。考えるまでもなく、Poppin'Partyである。

 

"スターを纏えば無敵になれる"とは、小説版の内容からの引用であるが、戸山香澄は星を纏っていれば無敵なのである。

そして、戸山香澄が繋いだPoppin'PartyのメンバーはSTARなのである。Poppin'Partyとしている限り、戸山香澄は常に星を纏った無敵状態である。

 

ならばこそ、Poppin'Partyに付与されるべき属性は無敵としてもおかしくはないだろう。

 

では改めて、これを歌詞に残す理由は何だろう?

 

2つの属性が消えた理由は、湊友希那の作詞のルールである。ならば、残った理由も誰かの作詞のルールと考えられる。

 

"夢を撃ち抜く瞬間に"の作詞に携わったのは、戸山香澄と湊友希那である。ならば、残したルールは戸山香澄のものとなる。

 

戸山香澄の作詞のルール。これもイベントストーリー、"いつか届けアタシの詩"の中にて語られている。

 

日常の中に存在するキラキラドキドキを伝える。周りに伝わるように歌詞にする。

 

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そんなルールを適用しているのならば、自明の理であろうとも歌詞にする事に納得がいく。

これが無敵が残った理由と考えられる。

 


☆明日の歌

ここまで述べてきた3つの属性は、Yes!BanG_Dream!にあった属性である。

しかし"夢を撃ち抜く瞬間に"では、新たな属性である、"明日"が増えている。

 

歌詞に存在する以上、戸山香澄のルールによって作られた属性だと思われるが、ならばその対象は何なのか。

 

答えは"全て"でどうだろう?

 

"夢を撃ち抜く瞬間に"が披露された武道館のステージ。あのステージが3バンドに与えた意味。

 

 

DJチュチュを、真の意味で加えた完全なRAISE A SUILENの誕生の瞬間。

 

頂点を目指すRoseliaの、終わる事の無い道の途中。

 

未来へ物語を紡ぎ、新たな人物を乗せて進むPoppin'Partyの列車の通過駅。

 

 

これらに共通して言えるのは、"終わり"がない事である。

終わりがない。言い換えれば、明日へと進む事である。

"全て"に対して付与されるべき属性として、違和感はないだろう。

 


☆In the name of BanG_Dream!

「星の鼓動はみんなだった。」

そんな戸山香澄の言葉を鑑みると、ポピパのメンバーだけでなくRoselia、RASと披露した"夢を撃ち抜く瞬間に"は、無敵の歌だろう。

元来、無敵に到達してしまえば、そこで終わるのが定石である。

 

しかし、彼女達は止まらない。

 

CiRCLINGが如く絶えない彼女達の物語を、BanG Dream!を知る者として見守っていきたい。